70人目 尾郷 賢 (6)箱根連碁110 6/6
箱根連碁の皆様
初夏といえば通常は爽やかな季節ですが
今年は雨続きでうっとうしい初夏です。
それでも日光地区では、麦が黄金色の穂を垂れ
収穫が始まっています。麦秋ですね。
面白い花を見つけました。杉に咲く蘭です。
実は昨年初めてみたのですが、30mの杉の木の樹冠部に
咲くことが多く、望遠レンズ無しではご紹介できません。
今年待望のレンズが買えましたので、勇んでご報告いたします。
セッコクという蘭の一種です。
杉の老木に着生します。幹に近い部にある塊は薄いピンク色です
目を引く派手さはありません。しかし清楚ですがすがしく
マニアには垂涎の花です。
いわゆるヤドリギが根が宿主に進入して栄養分を取り込む
「寄生」なのに対し、ラン科の植物は「着生」するだけです。
根を張ってしがみついているだけで、
宿主から栄養を搾取することはありません。
天から降る水を受け取るだけです。
花にとって必要なのは水分だけではないでしょう、と思った人は鋭い。
実は私がある植物園で指導員に発したのと同じ質問です。
「植物によってはコンキン(根菌)というのがあって、
空気からチッソを取り込み植物に受け渡すのですが、
ランがそうかどうかは分かりません」と彼は言いました。
根を宿主に進入させないので暴風などで吹き落とされることが
多いといいます。台風の翌朝にはビニール袋をさげたご老人が多数
杉並木で下ばかり見て歩いています。
季節にはあちこちで丹精こめたセッコクを展示する会がひらかれます。
セッコク(石斛)というくらいですから石にしがみついて咲くことも
多いのでしょう。ちなみにモッコクはよく好まれる庭木です。
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