<陶紙で何がしたいのか>

    

    陶紙マニュアルによると<切る・貼る・折る・編む・植える・描くの6つの技法>が可能

    であると記載されている。

    ここで私の興味があるのは<折る>と<編む>です。<切る・貼る・植える・描く>

    は土でもある程度可能です。他に<印刷する> <象嵌する> <音を楽しむ>

    が私と陶紙の出会いを価値あるものにし、緊密にするものです。さらに加えるならば

    <陶土の装飾をする>ことでしょうか。牛乳パッククラフトでパック折り紙、紙漉きで、

    能面つくり、ヒョウタンで河童と花瓶、そして竹炭は花炭に挑戦しました。私の挑戦は

    <何をしたいのか><何を表現せたいのか!>を先ず自問自答し<これをしたい>

    という確かな目標が定まると私の挑戦が始まります。

    このシリーズは牛乳パッククラフトが始まりですが、陶紙と陶土はその以前です。陶紙

    は趣味の原点です。ただ陶紙と陶土は息の長い趣味であり、牛乳パッククラフト〜竹

    炭は短期間集中の趣味です。陶紙と陶土はまだ一里塚にやっと到達した程度です。

    この二つは多分一生涯続くだろうと思っています。

    話はそれましたが私にとって陶紙で何を表現したいのかを説明します。

       

        <折る>

    幼少から体が弱く、運動神経が人より劣っていることを自負する私は敢えてアウトドア

    に挑戦しないでインドァに集中していました。その中に折り紙がありました。折り紙が

    陶磁器になる!折り紙が水で洗浄できる!折り紙がお膳の上に並ぶ!驚天動地です

    考えもしなかったことです。私は十二支の動物をすべて折り紙で折り、置物

    にしたり香呂にしたり、蓋置きにしたりして楽しんでいます。

      

       <編むー結び紐陶器>

   土でも編むことが出来ますが、陶紙の編むは繊細さ、緻密さは表現でき、陶土と根本

   な違いがあり問題になりません。私はそれはそれとして認め、もう一歩足を踏み込み

   れ<飾り紐>に挑戦しました。陶紙マニュアルによる編むは陶紙を細いテープ状に切

   り、これを竹細工のように編んで平皿や立体の籠にします。手先の器用な人ならある

   程度は土で可能ですが制作に集中力と時間を要します。陶紙ならそれほど必要としま

   せん。私は編み香呂等を数個作成しました。でもこれだけでは飽き足りないものを感

   じました。<飾り結び>は陶紙を細かくテープ状に切っただけでは出来ません。考え

   ました。陶紙を細い紐に巻きつけることを考え付きました。紐に巻きつけた陶紙なら

   立体的に編んでいくことができました。飾り紐の本を購入し伝統的な結び紐、創作的

   な結び紐を学び、これを陶磁器にしました。実用化の目処がついた時、これを<飾り

   紐陶器>を名づけました。紅白の亀結びの作品は玄関に飾っています。

       

       <印刷する>

   年賀状印刷にプリントゴッコ(商品名)という簡易で便利な印刷器がありました。今か

   ら数十年前の事です。絵具が熱で処理した印画紙を介して透過し印刷していく様を見

   ていると、印刷がこんなに簡単に手軽にできることを一人我点していました。そんな時

   またいつもの私の癖が出ました。こんな便利なもの正月の年賀状だけの用途に使用

   するのはもったいない。そうだ!これを陶紙に利用出来ないかと考えました。プリント

   ゴッコの絵具の代わりに、陶芸用の絵具をバインダーに混ぜ、陶紙に印刷しました。

   きれいに印刷できました。私は好きな楽譜、自分の詩集、絵を陶紙に印刷して造形

   し、素焼きして透明釉をかけ本焼きしました。絵を描く必要がなくなりました。

   この印刷をコンクルールに応募したことがあります。‘85年末、酒造会社が陶芸コン

   クルールを開催し一般に応募を呼びかけました。印刷することに自信を得た私は酒

   パックの絵柄を印刷して、本物そっくりの酒パックを作成して出品しました。優勝は

   逸しましたが、佳作に入選しました。

   今では陶土陶芸にも応用しています。簡単に廉価で思い思いのイラスト、記念の新聞

   記事を即座に印刷して陶磁器にする。印刷が可能になったお蔭で陶紙が日常生活に

   入り込み、身近な存在になりました。好きな楽譜を印刷した陶紙で折った鶴の箸置き

   家族の名前を印刷した鶴や生まれた赤ちゃんの手形、足形・・作品は<印刷する>

   ことが可能になったので、いろいろ広がっていきました。

       <象嵌するー粉状陶紙>

   土に切り込み模様や押印模様をつけそこに色の変わった粘土を塗りこんで装飾する技

   法を象嵌(ぞうがん)と言いますが、色違いの土は微妙に焼成時収縮が異なり失敗を

   余儀なくされます。同じ土なら焼成時収縮が同じなので色違いの下絵絵具を土と混ぜ

   て行いますが、作業が大変であることと余った色違いの土の保存方法が厄介です。私

   は陶紙を粉状にして下絵絵具を混ぜました。保存は乾燥状態、使用時に水を加える

   ので簡単です。陶紙は粉状にすることで応用範囲は広がりました。造形のとき破れた

   とき、空間が生じたとき、曲折で歪になったとき・・・の補修に応用できます。私は粉状

   の陶紙でブローチやペンダント等を作っています。球ものは粉状でなければ作成でき

   ません。私はこれを<粉状陶紙>と名づけ補修用に使用したり、単独で作品を作って

   います。

        <音を楽しむ>

   粉状陶紙の最初の作品です。陶器と磁器を比べる方法として指先ではじいて出る音で

   聞き分けます。両者の音、響きにははっきりした違いがあります。響きは磁器の方が

   はるかに澄み、硬い低い音がでます。水琴窟は常滑の土で作ります。本来常滑は焼

   き締めなので信楽等の土に比較して音の出方は違います。音を吸収しないで反撥し

   やすいです。だったら陶紙はどうだ!半磁器なので音は常滑に勝っても劣ることは

   無いだろうと居直りました。条件がそろっているとの判断で常滑甕の内側に粉状陶紙

   を塗った水琴窟を作成して、手はじめに音の強弱を測定しました。すると陶紙の方が

   音域が広くデシベル値も高い結果を得ました。10数年前のことです。これで自信がつ

   き、陶紙甕で<音を楽しむ>挑戦が始まりました。 陶紙による音の効果は水琴窟

   以外にすずめ脅しを作成しました。数本の細い陶紙板を作成して、それをぶら下げ

   互いに接触したときに発するキ〜ンをいう音がすすめ脅しにならないかと大阪の陶紙

   教室で共同実験をしました。でも実用化にいたりませんでした。

        <陶土の装飾をする>

   陶紙の可能性を追求してきた私は、次に挑戦したことは陶紙と陶土の競合です。長所

   と短所を競合した作品は陶紙を陶土の装飾に役立てることです。これはまだ模索中で

   一部の作品しか紹介できません。でもこれらは第6弾の<陶土陶芸>で紹介するべき

   か第5弾の<陶紙陶芸>で紹介すべきか迷いましたが、陶土が主なので次回に紹介

   することにします。

                        

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