PACIFIC VENUS号の船旅で
囲碁を楽しむ
                             PART 2                  塩沢 美義

          
      
                    
                       PACIFIC VENUS の全景


 
  船会社では、船や従業員を遊ばせないよう、1年をとおして様々な企画をたてています。寒い日本の

冬には暖かい南国へ、4月から6月にかけては世界一周とか、その他の季節には台湾や国内各地へ

のクルージングなどを企画し実施しているわけです。

 今回の企画は、「06アジアクルーズ」と名づけて募集されたものです。前回でも触れたように、期間は

1月23日から2月26日まで。横浜を出てからの寄港地は神戸、ベトナムのダナンとホーチミン、バンコク・

サムイ島、シンガポール、インドネシアのスマラン、マレーシアのクチンとコナキタバル、香港、そして神戸

から横浜への帰還というコースです。

 翌1月25日朝は、「四国沖30キロを通過中」とのアナウンスがありました。少し冷たいけれど、身体いっ

ぱいに潮風を受けてとても爽快なり。

 そして、9時30分から10時までは避難訓練の実施です。すべての身柄をVENUSに預けた以上は海に

投げ出されたことを考え、みな参加せざるをえません。救命胴衣を身に着けて8階のボートデッキに集合

です。


            

                         8階のボートデッキ

 8階に登ると、甲板一面にずらりと救命ボートが並べてありました。集まった皆さんは、一様にいささか

緊張した雰囲気の漂う瞬間であります。12時、室戸岬南南西3.5キロ付近を通過。気温13℃、「ベトナ

ム・ダナンまで、あと3265キロ」とのアナウンスがあり。体調は、2人共きわめて順調。

 14時からは、いよいよ囲碁教室のオリエンテーションが始まりました。この初日冒頭のオリエンテーシ

ョンには参加者全員に来ていただき、いろいろとお話をお聞きしたうえで、初級と中級に分かれていた

だきました。

 囲碁教室の運営は、家内との共同作業です。家内のアシスタントなしでは、とても出きるものではあり

ません。講師の依頼があったのは、昨年の12月下旬ですが、2日間ほど家内の意見もじっくり聞いて、

最終的に「やらせて頂きます」と返事をさせてもらいました。

 正直な話、どうなることかとずいぶん、内心は不安もあったものです。しかし初日に、一挙に30人以上

もの方が来られたので、不安はすっかり消えてしまい、逆にもりもりとやる気が起きてきました。参加者の

年齢は高く、殆んどの方がリタィアされた人たちでありました。しかし、全乗客数の10パーセント以上もの

方々が囲碁教室に参加されるとは、本当に、夢にも思わないことでありました。



           

        島田裕子さんと   
触れると奥様に変身、クリックで拡大      操縦室


 15時からは、まず中級クラスの開講です。これには約15名の方々が参加されました。レセプションル

ームにはテーブルに綺麗に碁盤が並べられ、椅子もゆったりとしてとても座り心地がよいです。大きな

解説用の碁盤や、ホワイトボードがすべて完備された室内には、静かにBGMも流れてきました。

 中級の人たちは、強い方で二段から三段くらいでしょうか。ひととおり説明をしたあとに、それぞれに対

局していただくのです。一回の講座時間は2時間ですが、おおむね長引いて30分は続いたような気が

します。

 そしてディナーのあと、20時30分からは島田裕子さんのリサイタルショーです。会場いっぱいに爽やか

な歌声が響き、うっとりと聞きほれる至福のときでありました。島田さんは、数日後私たちの囲碁教室にも

訪れて下さり、家内ともども記念撮影に快く応じてくれました。


                   

                      ダイニングルームでの寛ぎのひととき

               

                   女性も男性も真剣な面持ちで さあ、対戦だ 
クリックで拡大

 26日は、朝の9時から初級クラスの開講です。16名ほどの方が参加されました。そのうち、まったく初め

ての人は6人でした。分厚い碁盤の上に、さらに13路盤の薄い碁盤をおいて「初歩の第一歩」からのお勉

強の開始です。木々の香りが漂うような碁盤がずらりと並んだ景観は見事で、爽快感に溢れたものです。

 しばらくすると、

「これより、台湾海峡を通過しまーす」とのアナウンスが聞こえてきました。---それではまた---(つづく)