能 面U
                                                   川崎市   山本 利夫


                                            2007年4月6日

   不動と金メッキ    

四月初旬の能面展示会に出品の為昨年12月頃より能面の製作を始めました。

面は不動で予定は一月中に彫りを終え二月に塗りと銅板で目・牙・歯・を

作りそれを嵌め込んで三月に彩色で製作完了といふ順序でそのとおりに進み

出来上がりました。  胡粉の上塗りが終わった時に一枚と 製作が完了

した時に一枚 写真を撮り並べて比較出来るようにしました。  そして

銅板の加工と 金メッキ の方法を記した次第です。   

材料は0・五ミリの銅板です。まず目玉より大きく銅板を切りハンマーの丸い

方で木の台の上で丹念に叩きます。 充分に丸みがでたら彫刻の目にあわせて

ヤスリで仕上げていきます。 目の穴は嵌め込んでから注意してあけないと

上手くいきません. 次は牙ですが初めに十二ミリの鉄の丸棒でオス型を

作っておきます。 銅板を切りオス型に合わせて叩き円錐形の物を四ケ作り

ます。作る前に材料をバーナーで熱して水で急冷すると銅板が軟らかになり

成形がらくになります。 円錐形の合わせ目は銀蝋で溶接します。 ハンダ

ずけは 後で金メッキができないので不可です。

円錐形の物を彫刻の牙の部分にピッタリ合うようにヤスリで仕上げます。

難しい作業で時間がかかりますが大切なところです。 次は前歯と奥歯ですが

これも時間をかけて丁寧に作りペーパーをかけて バフ で奇麗にしあげます

疵があるとメッキをしてもはっきり疵が残るのでよく磨くことが肝要です。


金メッキの工程

用意する物は 洗浄液・水銀・金箔・電熱器・です。 初めにメッキをする

物を洗浄液でよく洗います。 次に水銀を少しつけて綿棒でよくこすり乍ら

のばしていきます。 全体が水銀色になったらOKです。次は金箔をはり

ますが これは静電気で何にでもくっつくので竹のピンセットで慎重に

あつかいます。 厚さもミクロン単位で薄いので三つ折か四つ折にして

メッキをする物に被せ薄紙をあてがって圧着します。よく圧着できたら金網

に乗せて電熱器にかけます。 温度があがってきて溶着ができたら終わりで

磨き粉をつけてこすると奇麗になって金メッキの出来上がりです。

後は裏の部分にボンドをつけて各部に接着しますが目とか牙の部分は隙間

があるので木の粉とボンドを煉ってつめます。 後は彩色にかかります。