1 岩魚釣り 山本 利夫
30代より渓流釣りを始め70代で止めました。始めは近県でヤマメ釣りでしたがドライブの途中群馬県沼田のガソリンスタンドで奥利根の岩魚の話を聞き、どうしても利根川上流に行きたくなりました。
水上温泉より約30キロ・途中に藤原ダム・須田貝ダム・を行きすぎて利根川の最上流に八木沢ダムがあります。一度偵察に行きましたがダム以遠には道はなくて船を利用しなければ上流に行けない事がわかりました。岩魚釣りをやる人はどうしても上流をめざします。
ダム湖畔に駐車場があり其処の管理人の方に土産のウイスキーを進呈して様子を聞いているうちに話がはずんで絶好の人を紹介してもらえる事になりました。 当時奥利根にいた只一人の職業漁師です。こうして私の長い奥利根釣行が始まりました。
奥利根の釣りの期間は豪雪地帯の事なので6月でも雪は沢山残っています。7月より9月の禁漁になるまでの間になります。利根川本流には水長沢・小穂口沢など長大な支流があり本流はシッケイガマワシに代表される険阻な谷で著名な登山家たちが大水上山の水源まで遡行した記録がいくつもあり「山や」の領分の様なのでこの方面は敬遠して奈良沢本流・幽の沢・コツナギ沢・小沢を主な釣り場にしました。雪の多い年は7月でも スノーブリッジがあり通過するのには細心の注意が必要でした。
2 舟を作る
初めの数年は職業漁師に湖を渡してもらい小屋に宿泊さしてもらっていました。然し段々に自分の舟が欲しくなったので最初に購入したのは中古の船外機使用のゴムボートでした。それも使用しているうちに分かったのですがゴムボートは古くなると自然に空気が抜けてきます。
次に買ったのは ヤマハのシーパック10でこれは組み立て式で二つに分かれ差し込んで組み立てるので運搬には便利でしたが波がくると強度の点で心配になってきました。
そこで未経験で知識もありませんでしたが舟を作ろうと決心しました材料は FRPで 知り合いの大工に頼んで3ミリの合板でだいたいの かたちを作ってもらいました。此れはダンボールでもよかったのです。それから樹脂・硬化剤・ガラス繊維を用意して舟型をひっくり返して船底・側面からはじめました。洗面器ぐらいの容器に樹脂と硬化剤を入れガラス繊維を適当に置いて素早く塗っていきます。
その時の気温によりますが温度が高いと樹脂は早くゲル化してきますので其の前に作業を終わるよう毎日1時間ぐらいやりました。船底・側面・を2回塗り船内も2回横の骨は発泡スチロールを切って其の上に塗りました。工作は割りに簡単で面白かったのです。約2週間ぐらいで完成したので多摩川に持って行き試運転をやりました。エンジンをふかしてスピードを上げると船尾が沈むので後から10センチ高くしました。
3
神奈川県の葉山に 「小型船舶検査機構」といふ役所があって其処に申請して係員に出張してもらい舟の検査を受けて合格しました。
ワゴンの屋根にも運搬用のキャリイをつくり簡単に載せて運べる様にして以後この舟ばかり使いましたが同行者にも好評で流木にあたっても平気で安心でした。キャンプ用品も色々変遷があり品質もよくなって釣行を長い間楽しんできました。
成果に就いて申し上げますと行くたびに研究し腕も上がって良型と数もでる様になりましたがそれに比例して家では余り喜ばれません。
喜んでいるのは山蕗のほうでした。沢を歩いていると何処にでも蕗があります。そこで山蕗とりにも力を入れて沢山持って帰るようになり それがご近所にキャラブキで配られる様になった次第です。
最後に舟のサイズを書いておきます。L 3m
H 1・4m T 0・55m 4人乗り仕様です。
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