俳句と私
俳句と私(7) 2006年4月 小川 玄吾
一片の落花盤上の石乱し
ここ数年、縁あって半年に一度くらいの割で野外または室内でペア碁を楽しんでいる。
会の名は「W」。今年は棋友の一人のご主人が病で倒れ、花見もペア碁も中止になった。
この句は、何時だったか、志木の柳瀬川の両岸数キロに及ぶ満開の桜並木を散策したあと、
一際大きな桜の木の下でペア碁を対局したときのことを詠んだものである。
一片の落花が盤上の局面を乱したわけではない。盤上への落花が、一瞬、局面打開の思考
を止め、ふと盤外の落花へも視線を向けた空白の時間を、「乱し」の語句に託しかったのである。
花万朶城への路はまだ続き
姫路のお城といえば「白鷺城」。この優雅な姿は他に比べるものがない。特に桜の季節は
城の白壁が一段と輝きを増す。池田輝政の築城。一時千姫がいたという歴史的にも由緒あ
る城だ。
次女が偶々神戸の垂水に住んでいた関係で、乳母車の孫娘共々、一日姫路城に遊んだ折の
句である。姫路の駅を降り歩くこと10分ほど、城前の公園の桜並木は花又花のトンネル、広場の周囲も城の回りも桜の林であった。午後の陽光を浴びながら桜の中を散策し、
城の裏手にある博物館、美術館にも入った。ゆったりと流れる至福の時間を過ごした。
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