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Part2 |
少しでも中国に興味を持ってくれる人が増えれば幸いです。
それと、70代でも頑張っているよ、ということを知っていただき、同年代の人を元気付けられればいいなと思っています。
私の日記(洗濯物が降ってくる)
部屋はアパートの一階だから小さい庭がある。洗濯物を干すのに便利だ。上の階の人たちは窓の外側にロープを張って干している。ときどきその洗濯物が落ちてくる。最初に落ちてきたのは、古い下着を適当な大きさに切ったような布切れだった。もう要らなくなった雑巾か何かだろうと思ってそのままにしておいた。
激しいノックの音。ドアを開けるとおじいさんが立っている。なにやらわめいたかと思うと、いきなりづかづか、いや、よたよたと入ってきて、私の前を素通りしてしまった。しかも土足のままだ。おい、おい、部屋を間違えてるんじゃないの?。
「あんた誰?」
とか何とか言っている間に部屋を突っ切って庭に下りてしまった。例の雑巾を拾い上げると、またすたすた、いや、よたよたと戻ってきて、ドアの外に出た。そこでやっとこっちを向くと、「マーファンニーラ(ご面倒おかけしました)」と言った。
「いいよ、いいよ」
事情がわかればいいんだよ。いきなり自分の部屋みたいな顔して入ってくるからびっくりしただけなんだ。苦笑いしがらドアを閉める。
このおじいさん、その後もちょくちょく落とすから、拾って階段の手すりのところに置いておくことにした。
ちょっと風の強い日だった。また何やら上から降ってきた。見ると、おお、艶めかしい女性の下着だ。パのつくやつが2枚、ハンガーにかかったまた落ちている。わー、触るのも恥ずかしいなー。でも、このままでは汚れるから(もう汚れてるけど)、そっとつまんで物干し用のロープに掛けておいた。
お昼ごろ、やさしいノックの音。開けると、知的な若奥様風。
「洗濯物が落ちてしまったんですけど」
そんな感じかな。直訳すれば「洗濯物が落ちた」かな。ま、どうでもいいや。
「どうぞ、自分で持って行ってください」
「いいんですか?じゃ。あのう、靴は履き替えるんですか?」
さすがは知的な奥様だ。
はい、はい。取って置きのスリッパを足元に揃え、洗面所に戻って髭剃りの続きをジージー。
「どうもありがとう」
とか言いながら若奥様のお戻り。
「いえ、いえ」
こんなとき、どんな顔をすればいいのかなあ。にやにやすれば変態だと思われるし、むっつりしていれば「むっつり何とか」だし、「またどうぞ」なんて言ったらもっと変だしなあ。
結局のところ、厳粛な顔をして「再見」と言って送り出した。
この奥さん、それからは外で会うとちゃんと挨拶してくれる。
二階のおじいさんも外で会うとにこにこして、何やら言いながら挨拶する。歯がないから何を言ってるのかわからない。
「あんたは元気でいいねえ。わしゃもうだめだよ」
勝手にそう解釈して、「うん、うん」と言いながら軽く手を上げることにしている。
このおじいさん、天気のいい日は遊歩道のベンチを独占して昼寝をしている。座って日向ぼっこをしているときもある。
おっ、ズボンの中に手を入れて、股の間から何やら引っ張り出したぞ。おお、例の雑巾だ。ということは?なーんだ、お漏らし用だったんだ。
おーい、もう落とすなよー。ババッチィから。
青島市 足立吉弘
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