「中禅寺湖畔のクリンソウ」です。
クリンソウはサクラソウの仲間で、北海道、本州、四国の山間部湿地に
生息する多年草です。
中禅寺湖畔千手が浜は野生クリンソウの群生を見ることが出来る数少ない
名所でした。しかし、近年の鹿害増加に伴い被害が増えてきました。
以前は「クリンソウは鹿が食べない」というのが常識でしたが、鹿の頭数が
増加して、餓死寸前になると何でも食べるようになったそうです。それも
クリンソウの花は食べず、茎だけを食べるのです。美しい花には毒がある!
野生のクリンソウが見る見る減ってゆくのを見かねた地元の農業経営者
伊藤氏が自分の庭に鹿防御ネットを設置してクリンソウを保護。
今着々と回復途上です。男気を見せ、入園料なしで開放しています。
 
クリンソウは五重塔の先端に飾られる9個の銅製の輪っか「九輪」と形が
似ていることから付いた名前ですが、実際には2〜3輪のものが大部分で、
多くてもせいぜい5輪くらいですね。

雨に歌う初期のクリンソウです。下から咲き始め今は1輪ですが、
蕾の輪っかが上に伸びて輪が増えてゆきます。
「積み重ね輪が増えて行き広がる和(=なごみ)」

ネットで囲っただけで、増やす手立てはしていないということですが、
やはり人手による演出を感じさせます。奥の空色は中禅寺湖です。
「蛇行する水と花園絶妙美」


写真の上下を間違えたのではありません。私の好きな鏡像です。
「水の精男気を愛で映す花」


珍しい黄色のクリンソウです。「幸せの黄色い花が吾に笑む」


向こう側に鹿防御ネットが見えます。「守られて咲く花いとし胸痛し」


多年草ですからこのような作り物も可能です。花が終わった輪っかには
実がなっています。「切り株に美を紡ぎ出す人の情」


防御ネットの外側でこのような野生の花が処々に群生しています。
「鹿の目を逃れて燃える命の火」


ミヤマカラスアゲハはクリンソウに似合いです。
「とも白髪俺とお前は花と蝶」