今こちらで最高の見ごろの、ヤシオツツジをお見せいたします。

霧降の滝を彩るヤシオツツジです。
何もない冬景色の中に突然出現したヤシオツツジは衝撃のピンク色です。
「ヤシオ咲き滝も目覚めて春来る」


栃木県の県花ヤシオツツジです。あでやかでたおやかで、気難しくて優しくて、
ツツジの女王と呼ばれています。この花に魅せられて、ヤシオが日光の街に
咲き出して連山を登りきるまで約1ヵ月半の間ヤシオの追っかけをやります。
疲れて帰途の運転が危うくなるときもあります。いつか事故って…。
しかし心行くまでこの花を撮れたら、それでもういいかなという気もします。
「この花に命預けて吾清(すが)し」

高さはサクラくらいになります。青空に立つ雄姿は光源氏か小野小町か。
その昔こんな光景がいたるところに見られたのですが、今は盗掘のせいで
少なくなりました。「週末はツツジ追っかけ吾細り」

霧の中でもおのずとツツジは光り輝きます。「小雨降る午後も心は夢の中」

六方沢の谷を見下ろします。朝日に輝く半逆光の花は実に美しい。
戊辰の乱で官軍に追われた大鳥圭介率いる幕府軍が、会津へ落ち延びる途路
ここ六方沢に野宿しました。疲弊困憊の兵士たちがこの「見知らぬ栃木の
赤い花」に心を癒されたといわれています。あと数日の命を一瞬輝かせた
花に思いを寄せます。「つわものの心癒した花無情」

いろは坂のシンボルはヤシオツツジです。昭和27年に日本で2番目の有料道路
として開通したいろは坂は当初の10年間対面交通でした。事故と死傷者の
多さが当局に第2いろは坂の建設を急がせたといいます。
「願わくは花の下にて春死なむ ヤシオに抱かれ天に召されむ」

ブナ科の枯れ木とダケカンバの冬姿の中にヤシオツツジが点在します。
その向こうは男体山。緑がないのはいいことかそれとも…。
「男体は色彩美なぞ俺要らぬ」