梨園で新たな発見!!! 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ライター　千遥 　４月下旬の或る日のこと、近所の梨園を訪れた。目的は梨の花を撮影させて頂くためである。毎年桜が散る頃ともなれば、つぎは市内あちこちで白い梨が見事な光景を見せる順番である。 　幼い頃はカメラなどには縁のなかったおっちゃんも、現在の総カメラマン時代になって、そこそこに、お花などに興味を持ち始めた。いつものように梨園では生育の悪そうな花はドシドシと、もぎ取られていく。小さなこの梨園では、おじさんが一人で作業をしていることが多い。 　　　　 　このあとに、雌しべに雄しべの花粉をかけて授粉させるわけだ。さらにその効果をより完成させるために、飼育している蜂を箱から解き放つという段取りとお聞きした。確かに蜂の群れる箱も見届けた。梨には大雑把にいって、幸水、豊水、新高という三大品種のあること位は、おっちゃんでも分っている。問題はその後にある。咲き誇る「幸水の雌しべに、幸水の雄しべ」をつけても授粉しないことだ。 　梨の場合は、異なる品種の花粉を授粉させねばならない。豊水の雌しべには、幸水か新高の雄しべを、新高には、幸水か豊水の雄しべが必要となる。我々には品種ごとの花を識別することは至難な技だが、周囲を見渡せばそれぞれの品種ごとに樹幹が明らかに異なることを知る。幹の太さ外皮が違うことが分る。これで素人も何とかなる。 　話は別になるが市の農業振興課から、「雄しべが不足して、輸入されるものも多い」と聞いた。こんなものも輸入されるのか。おっちゃんはビックリ仰天だ。 　　　　　 　近年は、ゴーヤのベランダ栽培を毎年やっているおっちゃんには、全てが新鮮な驚きであった。　 　収穫期は概ね幸水が８月上旬〜中旬であり、豊水は８月上旬、新高は９月中旬とされている。異なる品種の花の授粉との時期的な矛盾点は、豊水や新高もほぼ同時期に開花していることで疑問点は解けた。しかし梨の花を手にとって、よくよく見ても、雌しべと雄しべの判別なども難しいものだ。 　鎌ヶ谷は「梨しか無し」と、よく言われる。しかし、その梨栽培の経緯や実態すら知らぬままに過ごしてきたとは我ながら呆れて物も言えぬ。 　梨は本来は高木であるが、梨園では鉄線を張り巡らせて梨の枝が這うように工夫されている。それゆえに梨園は低い金網で覆われ、園の上部には布がかぶされている。これらはカラスなどの鳥にやられることを防ぐと共に、空から降り注ぐ「ひょう」から守る役目を果たす。したがって、我々には梨の成長過程を見る機会もないまに、８月上旬の収穫期を迎えることになる。 　千葉県は全国ナンバーワンの梨の産地である。では、何処が最も生産される地域なのだろうか。調べてみると市川市が一番で、つぎに松戸市であり、わが鎌ヶ谷市は三番目であった。前年までは二位であったが、 現在は三位に甘んじている。 　８/下〜９/上に、「あさづき」というものも出る。真ん丸い形をしており、大きさは幸水と新高の中間位。千葉県や鎌ケ谷市では「あさづき」を推奨している。そして、毎年イオンで販促活動を行っている。 　　　　　　 　　梨の実のなり方を整理すると、つぎのようになる。 １．まず、つぼみの段階で選別する。 ２．つぼみの花粉を交配に使うこともある。 　　花粉は輸入花粉をめしべにつける。 ３．授粉の仕方 　手作業で雌しべに雄しべの花粉をつける。専用の機械を使う場合もある。 　梨の花粉は異なる品種の花粉を交配させる。花の中に雌しべは７つくらいある。これが梨の種になる。雌しべはピンク色をしている。濃い花粉をふりかけると色はうすくなる。 　現在は余分なはなをもぎ取っている。間引きしている。そのあと、花粉をつける。暫らくはそのままで、５月中旬頃に生育の悪い梨はもぎとる。 　りんごなどは台風や暴風雨によって、大きな損失を受けることが多い。しかし、梨にはそんな話は聞いたことがないような気がする。鎌ケ谷市の農家は全体で概ね４００戸、約半数が梨農家とのことである。今年も美味しい梨の豊作を願ってやまない。　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(Ｃ・Ｗ) 　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　 　４月下旬の市内貝殻山公園